岩手県酒造組合・岩手県酒造協同組合
ごあいさつ
南部杜氏の歴史は古く、1678年頃、現在の紫波町志和で酒造りを始めた近江商人の村井権兵衛が、大阪から杜氏を招いたのがきっかけだといわれています。
それまで醪のままろ過しない、いわゆる「どぶろく」だけだった酒造りに、池田流の「すみ酒」の醸造技術を持ち込んだのである。
その後、近隣の農家が副業として二、三石程度の酒造りを請け負う「引酒屋」にその技術が広まり、代々受け継がれていきました。
千把扱の登場によって脱穀作業が軽減されると、農家は冬の農作業から解放されました。同時に、千把扱の導入で冬場の収入源を失った小規模農家が必要に迫られ、造り酒屋に出稼ぎを始めました。
それが南部杜氏の始まりだったと云われています。
こうしてみると南部杜氏は大阪池田流の流れをくむことになります。
しかし、京都で造り酒屋をはじめた村井権兵衛の分家・権右衛門は、奉公人を京都の本店で就業させてから南部に下向させたといわれ、酒造りが盛んな京都伏見の影響を受けていたことも考えられます。
いずれにしても時代とともに独自の工夫が加えられ、南部流の酒造りが完成されていったのだろうと思われます。
以来酒造技術が広まり、紫波、石鳥谷を中心に酒造りの技法が継承されて各地域の酒蔵と結びつき、全国最大の規模を誇る南部杜氏の基礎が築かれました。
岩手は良質の酒造好適米が豊富で、しかも清冽な水に恵まれています。
杜氏や蔵人の伝統に培われた高い技術力、あたたかな心に見守られて、いわての美味しい日本酒は生まれています。
岩手県オリジナル酒造好適米「結の香」「吟ぎんが」「ぎんおとめ」で醸し出されたお酒や、当県オリジナル酵母「ジョバンニの調べ」「ゆうこの想い」、オリジナル麹菌「黎明平泉」を使用したオール岩手清酒を中心にPRを行い消費拡大を図っております。
今後ともいわての日本酒をよろしくお願いいたします。
令和元年五月吉日
岩手県酒造組合 会長 松岡俊太郎